2枚のLPレコードに全23曲が収録され、ジャケットのインナースリーブはピーター・ガブリエルが書いた物語が載っていた。ジャンルとしてはロック・オペラになるだろう。物語の主人公はニューヨークのプエルトリコ人「Raelレエル」。歌詞と物語は、おそらくピーター・ガブリエルが実際に見た夢(夢というよりほとんど悪夢なのだが)を基にして、様々な文学作品や宗教・神話のテクストを織り交ぜて書き上げられていったと推測される。「Rael」という名はもちろん「Real現実」の綴りを変えたもの。10曲目の「Carpet Crawlers」の歌詞の一節に「We've got to get in to get out 外に出るためには中に入らなくてはならない」とあるように、レエルは自らの無意識の内部に入り込み、最終的には再び、現実という外部へと出て行く。
youtubeの「Genesis」公式サイトにこのアルバムの全曲がある。冒頭曲、「The Lamb Lies Down On Broadway (Official Audio)」を紹介したい。
suisが歌う『若者のすべて』には Music Videoがある。映像は、映画「余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。」ではなく、新たに制作された。監督は映画と同じ三木孝浩。二人の女の子は、映画で早坂秋人(永瀬廉)の妹夏海を演じていた月島琉衣と豊嶋花。キャスティングのつながりがあるので、あたかも早坂夏海の世代の物語のように見えてくる。
イタリア語の原題は『ROCCO E I SUOI FRATELLI』。直訳では『ロッコと彼の兄弟』だが、『若者のすべて』という邦題が付けられた。原題とはかなりの隔たりがある邦題になった理由や経緯は不明だが、五人の兄弟、五人の若者たちの様々な人生の光と影を描いたという意味で、〈若者のすべて〉という題が付けられたのかもしれない。
フジファブリック20周年記念ライブ「THE BEST MOMENT」から一週間が過ぎた。あの夜、なかなか眠れないなかでXの呟きを読んだ。4日と5日の呟きのなかで心を動かされたものについて触れてみたい。
はじめは、メジャーファーストアルバムのプロデューサー片寄明人氏@akitokatayose。
Aug 5 ひっそり参加するつもりでしたが、金澤くんのMCでまさかの紹介をして頂いたので…1stアルバムのプロデュース以来、20年ぶりにお手伝いをさせて頂きました。2024年のフジファブリックのステージに志村正彦を呼んで共に祝おうと、志村家、メンバー、スタッフ、みんなで考えた選曲、演出、映像でした。
Aug 5 志村くんの歌とギターは、EMI期ディレクター今村くんに相談し、志村くんが当時OKを出したマスターを借り、エンジニアの上條雄次と2人でMIX用に施されたエフェクトや調整を外し、歌った瞬間、弾いた瞬間を封じ込めた生々しい処理に仕上げました。そこに今のフジの演奏が重なった時、それは魔法でした。
志村は片寄氏を音楽的にも人物的にもとても慕っていた。その片寄氏が演出に加わったことが「THE BEST MOMENT」の成功につながった。彼の呟きから、志村正彦をステージに呼んで共に祝うという意図があったこと、志村家、メンバー、スタッフ、そして、片寄明人氏、今村圭介氏、上條雄次氏(山梨県出身のレコーディングエンジニア。志村日記にも登場する)が協力したことが分かる。
一昨日8月4日、フジファブリック 20th anniversary SPECIAL LIVE at TOKYO GARDEN THEATER 2024「THE BEST MOMENT」を見てきた。熟考したいことがあるのだが、それは後日に譲ることにして、一昨日の余韻が残るうちに書いておきたいことを記す。
ライブ前の数日、三人体制後のアルバム、特に2016年から2024年までの『STAND!!』『F』『I Love You』『PORTRAIT』を繰り返し聴いた。〈山内総一郎のフジファブリック〉だけでなく、〈金澤ダイスケのフジファブリック〉〈加藤慎一のフジファブリック〉も存在し、各々が時を追うごとに進化していることに気づいた(この四枚のアルバムを断片的にしか聴いていなかったのは自分の不明だった)。〈山内総一郎のフジファブリック〉〈金澤ダイスケのフジファブリック〉〈加藤慎一のフジファブリック〉という言い方をしたのは、彼らの作品の根柢には志村正彦の歌詞と楽曲があるように感じられるからだ。ここでは具体的に指摘しないが、言葉やモチーフには意識的無意識的に志村の世界の痕跡があることは確かだろう。
ライブの内容については後日書いてみたいが、『モノノケハカランダ』『陽炎』『バウムクーヘン』『若者のすべて』と、志村正彦の音源・映像とステージでの生演奏を複合させた演出。志村正彦の画像や映像をこのライブのテーマである「THE BEST MOMENT」の瞬間としてつなげていく演出は見事だった。画像ではあるが、彼の表情とその変化に魅了された。時には強い眼差しで、時には憂いを秘め、時には笑顔で見つめている。これまで公開されたことがない画像(記憶違いでなければ)もあった。
志村正彦が中心となって制作した『フジファブリック』『FAB FOX』『TEENAGER』『CHRONICLE』および『MUSIC』までの5枚と、それ以降の山内総一郎・金澤ダイスケ・加藤慎一の3人体制の『STAR』『VOYAGER』『LIFE』『STAND!!』『F』『I Love You』『PORTRAIT』の7枚に分けられるのだが、僕は『STAND!!』以後のアルバム、つまりこの十年間に制作されたアルバムについては断片的にしか聴いてこなかった。
いくつかの理由があって、8月4日開催の〈フジファブリック20th anniversary SPECIAL LIVE at TOKYO GARDEN THEATER 2024「THE BEST MOMENT」〉に行くことに決めた。2014年の「フジファブリック 10th anniversary Live at 日本武道館」以来のフジファブリック体験になる。
そこで最近は、『STAND!!』『F』『I Love You』『PORTRAIT』を中心に、3人体制のフジファブリックの作品を時間軸にそって聴いている。いろいろと感じること、考えること、気づいたことがあるのだが、それについては「THE BEST MOMENT」ライブの終了後に書いてみたい。