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2023年5月14日日曜日

NHK 『SONGS』菅田将暉、『鶴瓶の家族に乾杯』富士吉田市[志村正彦LN332]

 今回は、最近のNHKの放送のなかで、志村正彦が取り上げられたり、音楽が流されたりした二つの番組について書きたい。


 4月20日、菅田将暉がNHK総合の『SONGS』に初出演した。2月の日本武道館公演の映像や『まちがいさがし』『ゆらゆら』の二曲が披露された。そのなかで、志村正彦・フジファブリックの『茜色の夕日』の影響で音楽を始めたことが紹介された。

 五分ほどのその箇所を記録のために記しておきたい。ナレーションは黒色、須田の発言は青字(そのうちテロップとしても表示されたものは青の太字)、映像についての説明は赤色で示す。


【ナレーション】
菅田将暉さんは幼い頃からピアノを習い、歌うことが大好きでした。
しかし、十二歳で声変わりを経験し、人前で歌うことを避けるように。
音楽から遠ざかっていきました。

その後、十六歳で俳優デビュー。十代のほとんどを音楽を聴くことなく過ごしました。

映画『共喰い』(2013監督:青山真治、脚本:荒井晴彦、原作:田中慎弥)の映像
 
転機が訪れたのは十九歳の時。映画「共食い」の主演をつかみ、それまで経験したことのない難しい役を演じました。
 
必死で撮影に挑む日々。この頃出会ったある歌が菅田さんの心を動かしました。フジファブリックの「茜色の夕日」。

                                           
音楽活動原点の一曲 茜色の夕日(2005) フジファブリック

「茜色の夕日」MVの映像
「茜色の夕日眺めてたら 少し思い出すものがありました 晴れた心の日曜日の朝 誰もいない道 歩いたこと」
 
菅田将暉〈20歳のバースデイイベント〉の映像
 
20歳になった菅田さん。思い出深いこの歌との出会いを語りました。
 
【菅田】

北九州にずっと一か月泊まって撮影という感じで
その中ですごい毎日すげえ好きな景色がありまして
門司港っていう港から見ると海が紫で
何とも言えない組が オレンジだったり
空がちょっとこう何とも言えない色で
それを僕が
「わぁ茜色の夕日ってやつじゃないですか」って言ったら
先輩の女優さんが「茜色の夕日って曲あるよ」って
そのタイトルだけでマッチしたっていうこともそうですし
歌詞に出てくる言葉とか
音楽聴いて初めて泣いて
プライベートの自分も含め 仕事上の自分 
そして「共食い」の遠馬っていう役の心情というか
人間のこう 素直な弱さというか

  
菅田さんの心を揺さぶった「茜色の夕日」。この日初めて人前で歌いました。
 
菅田将暉 アーティストブック 『20+1 』ワニブックスの映像         
 
(大泉洋の「当時、何がそこまで響いたのか」という問いかけに対して)

映画という現場の熱量みたいなものをたぶん初めて体感した十九歳とかで
。それが「茜色の夕日」って言う曲のなかの
「東京の空の星は見えないと聞かされていたけど  見えないこともないんだな そんなことを思っていたんだ」
ていう部分があるんですけど。ちょうど上京して3年くらいだったのでなんかこうグッときたんですねえ
一見華やかでキラキラしているけど
でもなんか孤独な感じがあった
んでしょうね
まあ、そんなこともないんだっていうこの歌詞がたぶん響いたんだと思います。


 番組の記録は以上である。

 すでに、菅田将暉と『茜色の夕日』のことは、偶景web 2018年5月7日の〈菅田将暉『5年後の茜色の夕日』(志村正彦LN177)〉に書いたので、このテーマについてはここでは触れない。 その際に、菅田のデビュー・アルバム『PLAY』の初回生産限定盤付属の特典DVD『5年後の茜色の夕日~北九州小旅行ドキュメント映像~』について、〈映像中に、『茜色の夕日』の作詞作曲者である志村正彦の名、そしてフジファブリックの名もまったく記されていないのだ。何故なのか。疑問が湧き上がってきた〉〈本編映像の中でインポーズする必要はない。この歌の説明をする必要もない。しかし、タイトルバックの記載事項として、作詞作曲者の志村正彦という固有名(フジファブリックという名も)を明示することは、絶対的に必要な事柄である〉と指摘した。


 今回のNHK『SONGS』の映像にも、どういうわけか、作詞作曲者志村正彦のクレジットがなかった。番組内で歌詞に対する重要な言及があった。番組内で作者志村正彦の名を記すべきである。放送番組の制作・著作者は、音楽作品の著作者人格権を尊重しなければならない。


 もう一つの番組は、NHK総合の『鶴瓶の家族に乾杯』。先週の月曜日、5月8日舞台は富士吉田市だった。鶴瓶さんとゲストの木村佳乃さんは、NHKのプロジェクト「君の声が聴きたい」とコラボということで、地元の中学生と「白須うどん」に行った。(もう三十数年前になるが、僕もこの「白須うどん」で初めて吉田うどんを食べた。素うどんの値段は300円ほどで、うどんの固さ、キャベツが入っていること、民家の中で食べること、何もかもが驚きだったが、白須のうどんはとにかく美味しかった。数年前に新しい店になったようだが、また行ってみたい)その他、アートギャラリーの〈FUJIHIMURO〉や上吉田の四代にわたる大家族が紹介された。

  

 もしかしたらという予感というか予想があったのだが、中高生とのインタビューの際にフジファブリック『TEENAGER』が流された。『若者のすべて』のイントロやエンディングのメロデイも二回ほど使われた。特にクレジットはないので、純粋なBGMとしての扱いだったが、やはり、富士吉田には志村正彦・フジファブリックの音楽がよく似合う。

  

 明日、5月15日は富士吉田篇の第2回が放送される。織物工場や地域活動する高校生のもとに向かうそうだ。富士吉田を愛する人にとっては必見の番組である。


【付記】5月15日の『鶴瓶の家族に乾杯』では冒頭で、志村正彦・フジファブリックの『若者のすべて』が流れた。〈最後の花火に今年もなったな/何年経っても思い出してしまうな/ないかな ないよな きっとね いないよな/会ったら言えるかな まぶた閉じて浮かべているよ〉と歌う志村の声。富士吉田の高校生や若者に取材した回でもあるので、最もふさわしい曲であることは間違いない。