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2024年11月10日日曜日

2024ハタフェスと「赤黄色の金木犀」の黒板画[志村正彦LN357]

 もう三週間前になるが、10月19日、「山梨学Ⅱ」という授業で30人の学生と一緒に富士吉田の「2024ハタオリマチフェスティバル」に行ってきた。地域活性化の先進的な試みを学ぶための現地見学と調査だ。ここ数年の間、行っている。朝9時にバスに乗って大学を出発。心配していて天気も何とかもちそうで、御坂トンネルを越すと、富士山がその美しい姿を現した。少し雲はかかっていたが、まだ雪はなかった。夏山の富士だった。10時に富士吉田市役所の駐車場に到着。バスを降りて会場に向かった。引率教師と学生たちが集団で歩く姿は、まるで小学生の遠足のように見えただろう。

 ハタフェスは富士吉田の秋祭り。二日間、本町通り沿いの各会場でハタオリの生地や製品を販売したり関連のイベントをしたりする街フェスだ。昼までは五人ずつの六つのグループに別れて見学し、インタビューなどを通して調査を行い、見学報告のSLIDEを作成するのが課題だ。午後は各自の自由見学という流れだ。僕もいくつかのスポットを廻った。ところどころで学生たちとも出逢った。


 まずはじめに、KURA HOUSEで開催の「私のハタオリマチ日記展」。イラストレーターのmameさんが描いてきたRIHO、SACHI、AOIの物語とそのイラストが展示されていた。mameさんの絵のキャラクターはとにかく愛らしいのだが、状況や背景もしっかりと描かれているので、その場の雰囲気がよく伝わる。富士吉田という街と人の物語が浮かんでくるのだ。志村正彦ゆかりの喫茶店と言われる「M2」の前で佇むイラストも飾られていた。ポスターやポストカードのプレゼントもあったのが嬉しかった。


 今年はフードコートのようなエリアが充実していた。甲府のAKITO COFFEEの店があったので、フィルターコーヒーを深煎りで注文した。出来上がりまでの時間、このエリアにいる人びとを眺めると、各々がゆっくりとこの場にいることを楽しんでいるようだ。一息つくことができた。コーヒーで身体が温まる。チョコレートのマフィンも美味しかった。

 次は小室浅間神社。ここに来るといつもポニーを見に行く。可愛い眼が和ませる。こういう場もあるのがハタフェスのよいところだ。



 この後、中村会館を目指して本町通りを上がっていく。途中で驚くことがあった。M2近くにある謎の古書店「不二御堂」が何とオープンしているではないか!ここは何度も通ったことがあるが、いつも閉まっていた。初めて入り、高速に眼を動かして、書籍を物色。僕の趣味に合う本が多い。懐かしい本もたくさんあった。「現代詩手帳」のバックナンバーに掘り出し物があったので購入した。

  中村会館のエリアには黒板当番さんのコーナーがある。毎年ここに寄るのを楽しみにしている。志村正彦の黒板画をプリントした小さな絵が並んだパネルが立っていた。何度見てもあきることがない。


 

 さらに、富士山駅まで歩いていく。ゆるやかだが上り坂なのでけっこうしんどい。目指すは、駅ビル『ヤマナシハタオリトラベル』にある、志村正彦・フジファブリック「赤黄色の金木犀」をテーマとした黒板画だ。

 今年はいつもと違い、エレベーター近くの目立つ場所に飾られていた。
 絵の全体が赤黄色の色合いに溶け込んでいる。金木犀が香ってくるようだ。チョークの綺麗な点描で志村正彦の表情が繊細に描かれている。黒板当番さんがたくさん描かれてきた志村画のなかで、この絵がもっとも好きになった。




 見学から一週ほど後に、授業で六つのグループによる「ハタフェス見学報告」SLIDEの発表会を行った。全グループをまとめると120枚のSLIDEが出来上がった。いろいろな観点からハタフェスの魅力を語り、地域活性化のためのアイディアを考えた。課題や改善点も探った。

 あるグループが「YOUは何しにハタフェスへ」と題して、海外から来た人へのインタビューをまとめた。このユニークなテーマが大好評だった。フランス人夫婦(40代)、台湾人カップル(30代)、ドイツ人女性(30代)、オーストラリア人女性(40代)、マレーシア人男性(20代)と、国際色がほんとうに豊かだ。
 ハタフェスについては、「民泊のところに置いてあったチラシで知った」「泊まってるホテルから教えてもらった」「富士山や新倉山浅間公園を見に来たら、たまたまやっていた」という回答。みんな、雰囲気が素晴らしいと答えてくれたそうだ。

 これから、富士吉田の「ハタオリマチフェスティバル」が世界に知られるようになるのかもしれない。この街にはそのようなパワーがある。

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