今日、八月一日が「水の日」だということを初めて知った。この時期、水の使用量が多く、水について関心が高まるので記念日とされたそうだ。
昼過ぎから空の雲行きが変わり、ものすごい雨が降ってきた。雷鳴が響く。風も吹き荒れている。水の日に、大量の雨水が甲府盆地に注がれたことになる。
雨と雷鳴。「夏」が濃厚に迫る。はげしい雨のリズム。空気を切り裂く雷の響き。しばらくの間ぼんやりとしていた。そうこうするうちに、フジファブリック『星降る夜になったら』のイントロが頭の中で再生されはじめた。金澤ダイスケと志村正彦の作る軽快なリズムとメロディに乗って、志村の声が動き出す。
真夏の午後になって うたれた通り雨
どうでもよくなって どうでもよくなって
ホントか嘘かなんて ずぶぬれになってしまえば
たいしたことじゃないと 照れ笑いをしたんだ
「どうでもよくなって どうでもよくなって」が、どうにも、よい。
志村正彦は具体的な出来事を、いつも通り語らない。どういうことがどうでもいいのかはわからない。「ずぶぬれ」と「照れ笑い」の情景が互いを照らしあう。どうでもよくなる瞬間が訪れる。誰にでもそんな「真夏の午後」の記憶がある。そんな気がする。そんな出来事がこれからも起きる。
西から東へと 雲がドライブして
柔らかな日がさして 何もかも乾かして
昨日の夢がなんか 続いているみたいだ
その先がみたくなって ストーリーを描くんだ
雷鳴は遠くへ 何かが変わって
雨上がりの空。雲と日差し。世界が洗われる。そして乾いていく。いつのまにか、雷鳴も遠くへと過ぎ去った。
志村正彦は「夢」のモチーフを繰り返し歌に表現した。「昨日の夢」が続いているみたいと、この歌の主体は想う。この言葉は、『若者のすべて』の「途切れた夢の続きをとり戻したくなって」とも呼応する。ただしこの歌では、夢の「先」の「ストーリーを描く」と、前向きに言葉が繰り出される。「とり戻したくなって」と「その先がみたくなって」とでは、動きのベクトルの方向が異なる。『星降る夜になったら』は、先へ先へと、夢の歩みを加速させる。
真夏の午後の偶景。 「雷鳴」はアンセムのように轟く。アンセムが遠ざかり、静寂に包まれると、確かに、何かが変わる。何が変わるのかというつまらない解釈はやめよう。解釈できない言葉、声と音の連なりがいつまでも残響する。それでも一つだけ言えるのは、歌の主体にとって、「夢」に関わる何かかもしれないということだ。
公演名称
〈太宰治「新樹の言葉」と「走れメロス」 講座・朗読・芝居の会〉
公演概要
日時:2025年11月3日(月、文化の日)開場13:30 開演14:00 終演予定 15:30/会場:こうふ亀屋座 (甲府市丸の内1丁目11-5)/主催:甲府 文と芸の会/料金 無料/要 事前申込/先着90名 *下記の申込フォームからお申し込みください。
公演内容
公演内容:第Ⅰ部 講座・朗読 「新樹の言葉」と「走れメロス」講師 小林一之(文学研究 山梨英和大学特任教授)朗読 エイコ、第Ⅱ部 独り芝居 「走れメロス」俳優 有馬眞胤(劇団四季出身、蜷川幸雄演出作品に20年間参加、一篇の小説を全て覚えて声と身体で演じる)・下座(三味線)エイコ
申込案内
下記の申込フォームから一回につき一名のみお申し込みできます。記入欄に ①名前 ②メールアドレス ③メッセージ欄に「11月3日公演」と記入して、送信ボタンをクリックしてください。(ご要望やご質問がある方はメッセージ欄にご記入ください) *申し込み後3日以内に受付完了(参加確定)のメールを送信しますので、メールアドレスはお間違いのないようにお願いします。3日経ってもこちらからの返信がない場合は、再度、申込フォームの「メッセージ欄」にその旨を書いて送ってください。
*先着90名ですので、ご希望の方はお早めにお申し込みください。 *申込者の皆様のメールアドレスは、本公演に関する事務連絡およびご案内目的のみに利用いたします。本目的以外の用途での利用は一切いたしません。
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