公演名称

〈太宰治「新樹の言葉」と「走れメロス」 講座・朗読・芝居の会〉の申込

公演概要

日時:2025年11月3日(月、文化の日)開場13:30 開演14:00 終演予定 15:30/会場:こうふ亀屋座 (甲府市丸の内1丁目11-5)/主催:甲府 文と芸の会/料金 無料/要 事前申込・先着90名/内容:第Ⅰ部 講座・朗読 「新樹の言葉」と「走れメロス」講師 小林一之(山梨英和大学特任教授)朗読 エイコ、第Ⅱ部 独り芝居 「走れメロス」俳優 有馬眞胤(劇団四季出身、蜷川幸雄演出作品に20年間参加、一篇の小説を全て覚えて演じます)・下座(三味線)エイコ

申込方法

右下の〈申込フォーム〉から一回につき一名お申し込みできます。記入欄の三つの枠に、 ①名前欄に〈氏名〉②メール欄に〈電子メールアドレス〉③メッセージ欄に〈11月3日公演〉とそれぞれ記入して、送信ボタンをクリックしてください。三つの枠のすべてに記入しないと送信できません(その他、ご要望やご質問がある場合はメッセージ欄にご記入ください)。申し込み後3日以内に受付完了のメールを送信します(3日経ってもこちらからの返信がない場合は、再度、申込フォームの「メッセージ欄」にその旨を書いて送ってください)。 *〈申込フォーム〉での申し込みができない場合やメールアドレスをお持ちでない場合は、チラシ画像に記載の番号へ電話でお申し込みください。 *申込者の皆様のメールアドレスは、本公演に関する事務連絡およびご案内目的のみに利用いたします。本目的以外の用途での利用は一切いたしません。

2016年8月16日火曜日

「虹が空で曲がってる」ー『虹』1 [志村正彦LN136]

 甲府は盆地なので熱気が籠る。時には日本一暑いという記録の出る土地だ。ただし、山に囲まれた土地なので、夜になり風が吹くと気温が下がる。いい具合に夕立があると涼むこともできる。このところ、日中はまだ猛暑だが、朝晩は過ごしやすくなってきた。8月の後半に入り、真夏のピークが過ぎつつあることを実感する。

 夏の野外の所謂「フェス」に行く年齢ではもうないので、この時期は、ROCK IN JAPAN FESTIVAL(RIJF)などwowowで放送される番組を家でぼんやりと見るのが恒例行事だったが、今年は生放送がなくなった。生放送とはいっても、何会場もあるライブをそのまま中継できるわけもなく、制作側が選んだものをただ受け身で見るだけだったが。アーティストによっては後に25分程度の総集編が放送される。フジファブリックもここ数年放送されている。夏の野外という場に特有の雰囲気、バンドとその聴衆との関係の様子が伝わってくる。

 三年ほど前になるだろうか、金澤、加藤、山内の三氏が夏のRIJFと年末のCDJの映像を振り返る『フジファブリック フェス・ヒストリー・スペシャル』という番組が放送された。2005年の初登場の時に最初に演奏されたのは『虹』だった。(加藤氏の「虹事件」、ベースのチューニングが狂っていたが誰も気づかなかったという話もあった)記録を見るとそれ以来、RIJFには2010年と2015年を除いてずっと出演し、今年で通算10回となった。13日のステージは『虹』の後『若者の全て』で締めくくられたそうだ。
 『虹』はフジファブリックの夏のフェスの代表曲となっている。歌詞の内容からしても、野外の空の下が似合う歌だ。 公式の映像を添付させていただく。



 
  週末 雨上がって 虹が空で曲がってる
  グライダー乗って 飛んでみたいと考えている
  調子に乗ってなんか 口笛を吹いたりしている

            (『虹』 作詞作曲・志村正彦)


 「週末 雨上がって」 雨上がりの風景に「虹」が登場する。週末に何かを期待する、その期待の地平のようなものに、虹が現れる。
 「虹が空で曲がってる」条件が整えば、虹が空の中で大きく綺麗に半円を描くのが見えるようだが、なかなかそうはいかない。虹はすぐに消えてしまう。雲の合間に現れることも多い。くっきりとは見えないこともある。ふつうはその一部分、区切られたゆるやかな弧を描く虹が見えることの方が多いだろう。だから 、「虹が空で曲がってる」という歌詞を初めて聴いたとき、「曲がってる」という言葉に新鮮な驚きを感じた。虹が主語となり曲がるという述語で受けるその表現にも感心した。

 志村正彦はなぜ「虹が空で曲がってる」と描いたのか。
 現実にそのような景色を見たからだというのが、当たり前ではあるが、最も根拠のある答えだろう。しかし、虹が曲がる風景を見たとしても、それをそのまま言葉にするかどうかは、まさしくその表現者による。私たちは慣習化した言い回しを使いがちだ。何かを見出したとしても、その次の瞬間には、そのありのままの風景を忘れ、慣れきった言葉の世界に安住してしまう。

 志村はおそらく実際に見たことを描いている。実際に感じたことを述べている。「虹が空で曲がってる」は「実」の風景なのだ。「実」はありのままの世界であり、ありのままの感覚を生きることだ。優れた詩人は「実」を描く。言葉に変換する。その表現がありきたりな表現を越えていく。

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