公演名称

〈太宰治「新樹の言葉」と「走れメロス」 講座・朗読・芝居の会〉

公演概要

日時:2025年11月3日(月、文化の日)開場13:30 開演14:00 終演予定 15:30/会場:こうふ亀屋座 (甲府市丸の内1丁目11-5)/主催:甲府 文と芸の会/料金 無料/要 事前申込/先着90名 *下記の申込フォームからお申し込みください。

公演内容

公演内容:第Ⅰ部 講座・朗読 「新樹の言葉」と「走れメロス」講師 小林一之(文学研究 山梨英和大学特任教授)朗読 エイコ、第Ⅱ部 独り芝居 「走れメロス」俳優 有馬眞胤(劇団四季出身、蜷川幸雄演出作品に20年間参加、一篇の小説を全て覚えて声と身体で演じる)・下座(三味線)エイコ

申込方法

下記の〈申込フォーム〉から一回につき一名のみお申し込みできます。記入欄の三つの枠に、 ①名前欄に〈氏名〉  ②メール欄に〈電子メールアドレス〉  ③メッセージ欄に〈11月3日公演〉とそれぞれ記入して、送信ボタンをクリックしてください。(三つの枠のすべてに記入しないと送信できません。また、ご要望やご質問がある方はメッセージ欄に「11月3日公演」と書いた上でその内容をご記入ください) 申し込み後3日以内に受付完了(参加確定)のメールを送信しますので、メールアドレスはお間違いのないようにお願いします。3日経ってもこちらからの返信がない場合は、再度、申込フォームの「メッセージ欄」にその旨を書いて送ってください。 *先着90名ですので、ご希望の方はお早めにお申し込みください。 *申込者の皆様のメールアドレスは、本公演に関する事務連絡およびご案内目的のみに利用いたします。本目的以外の用途での利用は一切いたしません。

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2016年4月17日日曜日

Felix Pappalardiの悲劇

 前回は『洋楽グロリアス デイズ』を取り上げた。今回は僕にとってロック、洋楽ロックの原点となったある音楽家のことを書きたい。

 1983年4月17日、もう33年前となるが今日、Felix Pappalardi(フェリックス・パッパラルディ)がこの世界から旅立った。

 もう今ではFelix Pappalardiのことを知らない人も多いだろう。
 彼は1939年12月30日、ニューヨークで生まれ、ミシガン大学でクラシック音楽を学んだ。あのクリームのプロデューサー(第4のメンバーとも言われたが)として活躍後、1969年、Leslie West(レスリー・ウェスト)とMountain(マウンテン)を結成した。Pappalardiの音楽理論と重厚なベース、Westの繊細で激しい音色のギター、Pappalardiの妻Gail Collins(ゲイル・コリンズ)による優れた歌詞やアルバムジャケットの絵が高く評価されていた。曲によってWest、Pappalardiとヴォーカルが変わることにも味わいがあった。

 当時は日本でも人気があり、1973年8月に来日。(以前書いたように、当時中学3年生の僕は思い切って武道館公演に出かけた。初めてのロックコンサートだった。Mountain、Felix Pappalardiは、僕にとってロックの原点だ。)
 PappalardiとWestの求める方向性が異なり、一度解散。日本公演を契機に再結成するが、結局1974年末に完全に解散した。
 youtubeには音源がたくさんあるのでぜひ聴いていただきたい(時代的に映像が非常に少ないのが残念だが)。邦楽・洋楽を問わず、現在のロックや定番のクラッシックロックしか聴かない人にとっては新しい発見があるだろう。

Felix Pappalardi
(1939.12.30 - 1983.4.17)

 彼の死を知ったときのことは鮮明に覚えている。当時、西武新宿線の上石神井駅から数分のアパートに住んでいた。春、新学期が始まってまもなくの頃だった。大学からの帰り、駅前の定食屋に寄りいつもの夕飯を食べていた。何気なく取ってスポーツ新聞を読み始め、我が目を疑った。Felix Pappalardiの死を伝える記事があった。紙面の下の方に小さな写真と十数行の文が書かれているだけだったが、ただただ驚くばかりだった。(小さい記事でも新聞に載る程度には名のある音楽家だった)

 文面を読んでさらに衝撃を受けた。ニューヨークの自宅で妻のGail Collinsに射殺されたとあった。彼女は妻であると共に、良き理解者、Pappalardiの創造上のパートナーであった。いったい何があったのか。「射殺」という禍々しい文字に動揺した。享年43歳。僕にとってのロックの原点といえる音楽家の悲劇に、文字通り、言葉を失った。

 今回ネットで調べた情報をまとめると、Gail Collinsは故意の事件ではなく偶発的な事故だったと主張したそうだ。Pappalardiが銃の扱い方を彼女に教えている間に暴発した。陪審もその主張をある程度認めたようで、有罪判決を受けたが、2年後には仮釈放された。
 その後、表舞台からは姿を消し、2013年12月6日、ガンによって、メキシコで亡くなった。享年72歳。1983年4月17日の出来事の真相は永遠に分からないが、今にしてみれば、悲劇としか言いようがない。Mountainにとって、Felix PappalardiとGail Collinsが共に創造した作品にとっても二重の意味で悲劇だった。

 今日は朝からずっと、Mountainのライブアルバム『Twin Peaks』を聴いている。1973年の来日時に大阪会場で収録されたものだ。
 ライブを改めて聴くと、彼のやわらかな声と奏でるベースの重低音に魅了される。Pappalardiはその名が示すように、イタリア系の移民の子孫だった。陽気なところもなくはないが、暗さや翳りのある音楽は彼の出自によるものかもしれない。アメリカのハードロックという括られ方では、彼らの音楽は理解できない。これからも時々、PappalardiとMountainのことを書いていきたい。

 彼の歌う『Theme For An Imaginary Western』『Nantucket Sleigh Ride』。
 悲劇からそう感じてしまうのかもしれないが、そうではない。彼の声にはそのような調べがあった。昔からずっとそれを聴き続けてきた。

  Goodbye, little Robin-Marie
  Don't try following me
  Don't cry, little Robin-Marie
  'Cause you know I'm coming home soon

    『Nantucket Sleigh Ride』
   ( PAPPALARDI, FELIX / COLLINS, GAIL)

 Felix Pappalardiの声は、たとえようもなく悲しく、深い憂いに彩られている。


【付記】
 熊本の地震はこの国が地震列島だという現実を露呈させた。
 中央構造線を境に南側を西南日本外帯と呼ぶそうだが、この線沿いに九州・四国・紀伊半島の南部、山梨・静岡や南関東は地層的にはつながっている。甲府盆地の西側にそびえる南アルプスは中央構造線上で何億年もかけて海底が隆起して出来上がった。今度の地震も他人事ではない。何とか収束してほしい。日常を取り戻すのはなかなか難しいだろうが、私たちもそのために何か少しでも協力したい。

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