『ナショナルジオグラフィック日本版』の記事「重力波、世紀の発見をもたらした壮大な物語」によると、この重力波は、地球から約13億光年の彼方で、2つのブラックホールが互いに渦を巻くように回転して衝突したときに発生したそうだ。その重力波を「音」に変換したものがyoutubeに公開されている。天文学も物理学も分からないが、こうして「音」になると、その存在を感覚的に少しは受けとめられる気もする。
まずは「The Sound of Two Black Holes Colliding」を聞いていただきたい。
一種の「鼓動」として聞こえてくる。
ロックの聴き手としては、重力波の鼓動はまるでアナログシンセサイザーの音、パルスの音のようだ。グラフに記された周波数の変化もアナログシンセの音源の波形のように見えてくる。
ドイツのバンド、Tangerine Dreamの音が浮んできた。70年代前半のジャーマン・プログレッシブ・ロックの響きだ。重力波はロックのビートを刻んでいる。そんなことを書いてみたい欲望に動かされる。紹介記事には、「私たちは重力波の音を聞き、宇宙の音を聞くのです。宇宙は目で見るだけでなく、耳で聞くものになったのです」という、ある学者の発言も引用されていた。
約13億光年の彼方で、2つのブラックホールは合体し、1つのブラックホールを形成したという。元のブラックホールは死んで、新しいものが生まれる。重力波はその死と再生の鼓動でもある。
偶々、重力波発見の報道に接した。その音を聞いて、「確かな鼓動が膨らむ 動き出している!」という志村正彦『銀河』の言葉を自ずから連想してしまった。
宇宙の「確かな鼓動」はやはり「音楽」なのかもしれない。
(この項続く)
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