公演名称

〈太宰治「新樹の言葉」と「走れメロス」 講座・朗読・芝居の会〉

公演概要

日時:2025年11月3日(月、文化の日)開場13:30 開演14:00 終演予定 15:30/会場:こうふ亀屋座 (甲府市丸の内1丁目11-5)/主催:甲府 文と芸の会/料金 無料/要 事前申込/先着90名 *下記の申込フォームからお申し込みください。

公演内容

公演内容:第Ⅰ部 講座・朗読 「新樹の言葉」と「走れメロス」講師 小林一之(文学研究 山梨英和大学特任教授)朗読 エイコ、第Ⅱ部 独り芝居 「走れメロス」俳優 有馬眞胤(劇団四季出身、蜷川幸雄演出作品に20年間参加、一篇の小説を全て覚えて声と身体で演じる)・下座(三味線)エイコ

申込案内

下記の申込フォームから一回につき一名のみお申し込みできます。記入欄に ①名前 ②メールアドレス  ③メッセージ欄に「11月3日公演」と記入して、送信ボタンをクリックしてください。(ご要望やご質問がある方はメッセージ欄にご記入ください) *申し込み後3日以内に受付完了(参加確定)のメールを送信しますので、メールアドレスはお間違いのないようにお願いします。3日経ってもこちらからの返信がない場合は、再度、申込フォームの「メッセージ欄」にその旨を書いて送ってください。 *先着90名ですので、ご希望の方はお早めにお申し込みください。 *申込者の皆様のメールアドレスは、本公演に関する事務連絡およびご案内目的のみに利用いたします。本目的以外の用途での利用は一切いたしません。

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2021年4月11日日曜日

奥田民生『拳を天につき上げろ』『すばらしい日々』

 奥田民生MTR&Yの山梨公演の収録映像が、「RAMEN CURRY MUSIC RECORDS」のyoutubeチャンネルに載せられている。オープニング曲『拳を天につき上げろ』だ。


 奥田民生 - 拳を天につき上げろ  Live at YCC県民文化ホール(山梨) 2021.1.31



 

    拳を天につき上げろ       作詞・作曲:奥田民生
   
              雨も日差しも とけてながれた
              今日の時間を 振り返っている
              失敗の 場面を なげき
              因憊の 体を ほめる

              誰か見てるか 誰も見てない
              誰かが見てるさ かくれて見てるさ
              いっぱいの 期待をあつめ
              心配の 元をたつのさ

              カンパイ 拳をつき上げて
              カンパイ カンパイ 言いたい事はそれだけ

              闇と光と かわりばんこさ
              闇も光も 泡にまみれた

              カンパイ 夜空の星に向け
              カンパイ カンパイ 言いたい事はそれだけ

              カンパイ 拳をつき上げて
              カンパイ カンパイ ただそれだけ
              カンパイ 夜空の星に向け
              カンパイ カンパイ 言いたい事はそれだけ


 『拳を天につき上げろ』は労働歌だ。聴き手の喉の渇きを潤すかのように、歌が体に染み込んでくる。

 一日を振り返り、失敗をなげく。誰も見てないようで、誰かがかくれて見てる。時間も視線も追いかけてくる。そんな働く男や女に、歌い手は〈カンパイ 拳をつき上げて〉と呼びかける。疲労困憊の体がほぐされ、心配の元がうすめられていく。毎日、〈闇と光〉は〈かわりばんこ〉に現れる。働く者の実感だ。〈カンパイ〉の〈泡〉にまみれて、闇が光になる。時には光が闇になるのだろうが、それでも〈夜空の星〉、闇の中の光に向けて〈カンパイ カンパイ〉と奥田民生は歌う。

 〈失敗〉〈困憊〉〈いっぱい〉〈心配〉そして〈カンパイ〉と韻を踏んだキーワードが物語の情景を織りなす。聴き手は「コール・アンド・レスポンス」のようにして、歌い手に応答するのがよいかもしれない。〈言いたい事はそれだけ〉なのだから。

 ユニコーン初期の傑作『大迷惑』『働く男』『ヒゲとボイン』そして『すばらしい日々』も労働歌、労働者ロックだ。『拳を天につき上げろ』もその系譜に属している。この歌は2012年1月リリース。サッポロビールの企業CMタイアップ曲だったようだ。タイアップという枠組の中で労働歌を作る。奥田民生らしい拳の挙げ方だ。初期の歌とは異なり、この歌にはある種の諦念があるが、これは成熟とも言えるのだろう。

 MTR&Yバンド。ボーカル&ギター奥田民生・ベース小原礼・キーボード斎藤有太・ドラム湊雅史のユニットの音はとても心地よい。2021年の今、ここではロックが生き生きと呼吸している。


 もう一つ、最近のライブ映像を紹介したい。

奥田民生 - すばらしい日々(UNICORN)  I Live at Zepp Tokyo 2020.11.25



 奥田民生ライブツアー 『ひとり股旅 2020』Zepp Tokyoのツアーファイナル公演の映像である。一人で歌うのとバンドで歌うのとは印象がまったく異なる、不思議なほどに。なぜだろう。

 55歳になった奥田民生の『すばらしい日々』は、歌詞そのものは同じだが、その独特な時間の感覚が以前よりも凝縮されている気がする。


  なつかしい歌も笑い顔も すべてを捨てて僕は生きてる

  それでも君を思い出せば そんな時は何もせずに眠る眠る

  朝も夜も歌いながら 時々はぼんやり考える

  君は僕を忘れるから そうすればもうすぐに君に会いに行ける


 繰り返しになるが、彼の歌は時間の捉え方が独特だ。〈そんな時は何もせずに〉〈時々はぼんやり〉と、時という言葉が繰り返される。時を加速させたり、静止させたり、振り返ったり、解き放ったりして、時が動いていく。時が進むのも戻るのも、忘れるのも想いだすのも、別離も再会も、『拳を天につき上げろ』の一節で言うなら、どれも〈かわりばんこさ〉と囁くかのように。


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