公演名称

〈太宰治「新樹の言葉」と「走れメロス」 講座・朗読・芝居の会〉

公演概要

日時:2025年11月3日(月、文化の日)開場13:30 開演14:00 終演予定 15:30/会場:こうふ亀屋座 (甲府市丸の内1丁目11-5)/主催:甲府 文と芸の会/料金 無料/要 事前申込/先着90名 *下記の申込フォームからお申し込みください。

公演内容

公演内容:第Ⅰ部 講座・朗読 「新樹の言葉」と「走れメロス」講師 小林一之(文学研究 山梨英和大学特任教授)朗読 エイコ、第Ⅱ部 独り芝居 「走れメロス」俳優 有馬眞胤(劇団四季出身、蜷川幸雄演出作品に20年間参加、一篇の小説を全て覚えて声と身体で演じる)・下座(三味線)エイコ

申込案内

下記の申込フォームから一回につき一名のみお申し込みできます。記入欄に ①名前 ②メールアドレス  ③メッセージ欄に「11月3日公演」と記入して、送信ボタンをクリックしてください。(ご要望やご質問がある方はメッセージ欄にご記入ください) *申し込み後3日以内に受付完了(参加確定)のメールを送信しますので、メールアドレスはお間違いのないようにお願いします。3日経ってもこちらからの返信がない場合は、再度、申込フォームの「メッセージ欄」にその旨を書いて送ってください。 *先着90名ですので、ご希望の方はお早めにお申し込みください。 *申込者の皆様のメールアドレスは、本公演に関する事務連絡およびご案内目的のみに利用いたします。本目的以外の用途での利用は一切いたしません。

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2016年10月13日木曜日

ボブ・ディラン「新しい詩的表現」

 今夜帰宅後、ノーベル文学賞が気になってテレビをつけてみた。BSフジの「プライムニュース」がストックホルムからの映像を生中継していた。
 午後8時、発表者から読み上げられた名は「Bob Dylan」だった。英語での説明がゆっくりした発音だったので「new poetic expressions」「the great American song tradition」という言葉が耳に入ってきた。数年前から候補に挙がっていたことは知っていたので意外ではなかった。それよりも「偉大なアメリカの歌の伝統」の中で「新しい詩的表現」を創造したという授賞理由に心が強く動かされた。

 志村正彦の歌詞・詩を中心に日本語ロックの歌詞について語り続けてきたこのblogの主催者としては、現在のロックやフォークの歌詞の最も大きな源流であるボブ・ディランがノーベル文学賞を受賞したことは率直に嬉しい。ノーベル賞という大栄誉、大権威から承認されることは「ロック」的でないという野暮な意見もあろうが、そんなことはどうでもいい。ロックやフォークの言葉はもっと多くの人に親しまれるべきだ。その契機となるならこの受賞には大きな意義がある。
 朝日新聞の記事によると、発表したサラ・ダニウス事務局長は「彼の詩は歌われるだけでなく、読まれるべきものだ。非常に巧みに伝統を取り込みつつ、常に自分自身の殻を破ってきた」と述べたそうだ。「読まれるべき」詩という捉え方には大いに共感する。

 今年の4月、渋谷オーチャードホールでボブ・ディランを聴いたことは以前このblogに記した。1978年2月武道館以来の2度目のディラン体験だった。その時書いたように、僕は「70年代のディラン・ファン」ではあるが、ずっと聴き続けているという意味での本来のファンではない。それでも断続的ではあるが、彼の軌跡を追っていたとは言える。
 あの日のディランは、アメリカ音楽の伝統を一身にまとう「シンガー」だった。自分の書いた文をそのまま引用する。

ディランは20世紀のアメリカ音楽の厚い伝統に守られている。その言葉も英米文学やユダヤ・キリスト教の言葉の伝統に支えられている。それは事実であり、それ以上でもそれ以下でもない現実なのだろうが、正直に言うと、そのことに違和というか疎隔されるような感覚も持った。孤高の単独者というより、伝統のそれもかなり自由な(これが彼らしいが)体現者としてのボブ・ディラン。自分自身に対する固定的な捉え方、その枠組みからたえず抜け出そうとしてきた彼の軌跡の到着点なのだろうか。

 60年代から70年代にかけての「孤高の単独者」の影を追いかけてしまうのは、僕たちの世代の幻影、一種の病のようなものかもしれないが、それは自ら引き受けるものなのだろう。ディランを源流とするロックやフォークの言葉。その伝統と現在は今だ転がる石のように動き続けている。世界のあらゆるところで、この日本でも。僕たちには志村正彦という稀有な「ロックの詩人」がいる。

 志村正彦は、日本語ロックの伝統に「新しい詩的表現」を与えた革新者だ。日本語の伝統や季節の感性を受けとめた上で、それを超える言葉の綴れ織りと新しい話法を編み出した。一つ一つ、彼の言葉の軌跡をたどっていきたい。

2 件のコメント:

  1.  「ロックの詩人」が開催された際、足を運ばせていただきましたが、『志村正彦は、日本語ロックの伝統に「新しい詩的表現」を与えた革新者だ。日本語の伝統や季節の感性を受けとめた上で、それを超える言葉の綴れ織りと新しい話法を編み出した。』で、どうしてロックの詩人なのか、という意味がようやく本当に分かった気がしました。何となくは思っていましたが、それを言葉にするのは難しかったので、非常に納得がいきました。素晴らしい表現ですね。
     季節をロックに入れ込むなんて、志村さん以外でいたでしょうか。だから、志村さんの曲を知った人々は、彼の曲と詞にはっとさせられるのでしょうね。私もその一人です。

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  2. 「ロックの詩人」展をご覧いただいたのですね。ありがとうございました。うれしいです。「志村正彦と季節」というテーマをずっと考えてきたのですが、なかなか難しくて深いテーマです。頭の中で温め続けていても仕方がないので現時点で分かってきたことを近いうちに書いてみます。
     志村正彦・フジファブリックの作品に出会うことができれば、kapaさんの言われる「彼の曲と詞にはっとさせられる」ことを、多くの人が経験するのだと思います。もっともっと彼の歌を広めたいですね。

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