2014年2月12日水曜日
報われる時 [志村正彦 LN71]
今日の夕方、フジファブリックの2008年5月31日収録DVD『Live at 富士五湖文化センター』、2006年12月25日収録DVD『Live at 渋谷公会堂』、その二つのDVDと写真集やグッズがパッケージされた『FAB BOX II』が各々4月16日に発売されることが発表された。すでに、ツイッター等のリアルタイム検索を見ると、凄い反響を呼んでいる。
メジャデビュー10年を迎える今年、何かがあるのではないか、何かがあってほしいという期待があった。特に、過去の音源や映像が志村正彦の「音楽遺産」として発表されることへの願望をこのLNでも何度か書いてきた。このような形で現実のものとなり、驚きと喜びと感謝の気持ちがこみあげてくる。と書いていいのか、むしろ、言葉にならない想いに包まれている。
『桜の季節』の発売は2004年4月14日だから、ちょうど10年を迎える桜の季節に、志村正彦の結果として最初で最後となった、あの「富士吉田市民会館」(富士五湖文化センター)ライブがDVDとなり、リリースされることになる。
すでに、シングル『Sugar!!』付録のDVDに『ペダル』『TEENAGER』『茜色の夕日』、『FAB BOX』の「FAB MOVIES」(LIVE映像集)DVDに『ロマネ』『浮雲』『星降る夜になったら』『茜色の夕日』が収録されているが、どちらも限定生産で現在では入手できない。(ストック品や中古品はあるが、かなりの高値となっている) 特設サイトによると、『TEENAGER』収録の10曲の他、『桜の季節』『陽炎』等を含め全部で19曲がMCを含め完全な形で収録されるようだ。
『茜色の夕日』の前のMCで、志村正彦がこれまでの歩みを振り返る言葉はすでに映像化されているが、これを見たファンの誰もがそう感じるだろうが、この言葉とその後の歌を聴く度に、心の底からの感動をいつもいつも覚える。
月並みな言葉でしか言い表せないが、ここには、自らの音楽を創り、聴き手に届けるために懸命に生きた一人の青年の純粋で美しい生の軌跡の記録がある。
彼が故郷に帰還し、歌う。それは結果として、「一世一代」の舞台となってしまったが、この映像がDVD作品となって永遠に遺されることは、志村正彦の人生と音楽に対する最も重要な追悼ともなる。
様々な困難を越えて、このDVDが実現したのは、現在のメンバー金澤ダイスケ氏・加藤慎一氏・山内総一郎氏、所属事務所、レコード会社の「想い」と志村正彦の聴き手一人ひとりの「想い」が一つになって結実したからだろう。これは希有なことであり、志村正彦、フジファブリックという枠をも越えて、現在の閉塞した音楽と音楽業界への何らかの提起ともなる。
そして何よりも、特設サイトの「STAFF BLOG」欄にある、担当ディレクター今村圭介氏[EMI RECORDS] が書いた『14.02.12 フジファブリック デビュー10周年記念企画』という「想い」にあふれる文の最後の2行を読むと、このDVDが実現したのは、志村正彦の御家族のご尽力があったからだいうことが、深く理解される。
彼はMCの中で、「今日、ライブができて、まあとりあえずその日は、その今までは報われたかなと、そういう自分は報われたかなと思っています。」と語っていた。
この春、桜の季節に、『Live at 富士五湖文化センター』DVDという形で、もう一度、志村正彦の音楽と人生が報われる時が訪れる。その春の日を待ちたい。
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