2026年1月18日日曜日

11月・12月のBe館『見はらし世代』『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』『殺し屋のプロット』

 もう新年を迎えてしまったが、昨年の11月と12月にシアターセントラルBe館で見た映画について書きとめておきたい。


見はらし世代



 監督・脚本、団塚唯我。再開発されていく東京・渋谷の風景を経糸に、ランドスケープデザイナーである父・初(遠藤憲一)、母・由美子(井川遥)、主人公・蓮(黒崎煌代)、姉・恵美(木竜麻生)の家族を緯糸にして、風景と人物の物語が織り込まれている。
 家族再会の場面で天井の電球が落下する瞬間に、物語が転換する。脚本も演出も新しい感覚に満ちていて、ラストシーンも独自の味わいがあった。


ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師



 監督・脚本、トッド・コマーニキ。ドイツの実在の牧師・神学者、ディートリヒ・ボンヘッファーの伝記映画。幼年時代から、ナチスの独裁者ヒトラーをー暗殺する計画に加担し処刑される1945年4月までの人生を追う。第2次世界大戦中のナチス政権に加担した牧師や神学者たちに危機感を抱いた牧師ボンヘッファーは、ナチズムを崩壊させるため「ヒトラー暗殺計画」に加担するが、捕らえられる。実話に基づく極めて厳しい内容の作品だった。 
 大学生の時、哲学の岩波哲男先生の教養演習というゼミ形式の授業で、半年の間、ボンヘッファーのテキストを読んだことがあった。軽井沢のセミナーハウスで夏の合宿もしたので非常に印象に残っている。もともと文学よりも哲学に関心のあった僕にとって、この授業は限界状況におけるキリスト者の倫理について考える契機となった。そういう経緯からこの映画には特別の関心があったのだが、特にボンヘッファーの最後の姿に胸を打たれた。


 ザ・ザ・コルダのフェニキア計画


 ウェス・アンダーソン監督。ヨーロッパの富豪ザ・ザ・コルダが娘で修道女のリーズルとともに、架空の大独立国「フェニキア」のインフラを整備する大プロジェクトを進めようとする。
 様々な出来事が起きるのだが、それぞれのプロットの最後がほとんど省略されて描かれない。全体の展開がよく分からないままフィナーレを迎えるのだが、とりあえずハッピーエンドといったところだろうか。本物の美術作品をたくさん使った演出がとても豪華だった。物語よりも映像そのものを純粋に見ることを愉しむ作品だろう。


殺し屋のプロット


 監督・主演・製作、マイケル・キートン。急速に記憶を失う病によって数週間以内にすべてを忘れてしまうという運命の殺し屋ジョン・ノックスは、息子のマイルズが娘をレイプした男を殺した罪を隠すために人生最後の完全犯罪に挑む。
 考え抜かれた脚本ときめ細かい演出によって、優れたサスペンス映画になっていた。エンディングのシーンでのおそらくすべての記憶を失ってしまった男の表情が印象深かった。


 2025年5月のシアターセントラルBe館の再開の後、年末までに24本の映画を見たことになる。この映画館のセレクトが素晴らしく、どの映画も十二分に愉しむことができた。2026年も、甲府の街中の映画館に足を運び、スクリーンで見ることにこだわっていきたい。



0 件のコメント:

コメントを投稿