今日で8月が終わるが、真夏のピークは去ることがない。
気象庁によれば統計的に最も暑い夏になるそうだ。僕の住む甲府は昔から全国でも有数の酷暑の街。猛暑日の日数は今日で53日となり、過去最多の更新が続いている。実感としてもこれまでで最も暑い夏だ。できるだけ外出を避け、家に籠もり、PCに向かうことが多かった。偶景webのリニューアル、〈芥川龍之介の偶景〉シリーズの開始があり、ブログの記事を三日に一度ほどのペースで書いてきた。
6月25日に、『フジファブリック LIVE at NHKホール』DVD/Blu-rayが発売された。今年2月6日(木)に開催された活動休止前最後のフジファブリックのワンマンライブの映像である。以下の三つの仕様があった。
・完全生産限定盤(Blu-ray 2枚組+48P LIVE写真集) ※大サイズ豪華三方背BOX仕様
・通常盤初回仕様(Blu-ray 2枚組+24P LIVE写真ブックレット) ※トールサイズクリアスリーブケース仕様
・通常盤初回仕様(DVD 3枚組+24P LIVE写真ブックレット) ※トールサイズクリアスリーブケース仕様
完全生産限定盤と通常盤初回仕様は数に限りがあり、通常盤初回仕様は初回仕様が完売になり次第トールサイズクリアスリーブケースが付属していない通常盤へと切り替わるそうである。つまり、通常版を加えると四つ以上の仕様があるようだ。こんなにも仕様を複数化するのは、ファンへのサービスという面もあるが、ビジネス面での判断があるのだろう。他のアーティストでもこういう傾向があり、DVD・Blu-rayのパッケージソフトが以前ほど売れない現実がある。
僕が購入したのは通常盤初回仕様のDVD。「24P LIVE写真ブックレット」を開くと、メンバー欄に〈山内総一郎/金澤ダイスケ/加藤慎一/一行開け/志村正彦/一行開け/Support Musician/伊藤大地 drums/朝倉真司 percussion〉、Special thanks to欄は左右の2段あり、左側の最後に〈志村家のみなさま/フジファブリックに関わってくださったみなさま〉右側に〈志村正彦〉一人が掲載されていた。
活動休止前最後のライブということもあり、本編からアンコールまでMCも入れたほぼ全編の映像が記録されていた。配信にはなかった映像も挿入されて編集されていた。山内・金澤・加藤の姿もクリアに映し出されていたが、その表情はやはり四十代半ばの男性のものだった。時の流れを感じざるを得ない。メジャーデビューから21年の年月が経ったのだ。
メンバー三人が最後に挨拶をしてステージから去った後、観客が静かなたたずまいのまま力強く拍手を続けていた。フジファブリックのファンならではの姿と拍手の音でエンディングを構成した編集が良かった。
一年と少し前の2024年8月4日、フジファブリック 20th anniversary SPECIAL LIVE at TOKYO GARDEN THEATER 2024「THE BEST MOMENT」に出かけた。このライブでは特に、志村正彦の音源・大型モニターの映像とステージでの生演奏を複合させた演出による「モノノケハカランダ」「陽炎」「バウムクーヘン」「若者のすべて」と、アンコールでの冒頭で2008年富士吉田市民会館ライブの志村の〈この曲を歌うために僕はずっと頑張ってきたような気がします〉というMCが入った後は志村の声と生演奏だけで構成された「茜色の夕日」に感銘を受けた。映像ではあるのだが、志村正彦の表情とその変化に魅了された。時には強い眼差しで、時には憂いを秘め、時には笑顔で見つめている。片寄明人によると、志村家、メンバー、スタッフの皆で考えた選曲、演出、映像だったようだ。
この五曲はこのライブのテーマである「THE BEST MOMENT」、最も素晴らしい瞬間、最も重要な時を表現していた。おそらく、この「THE BEST MOMENT」はまさしく、この8月4日のこの瞬間においてのみ存在させるという意図や合意があったのではないだろうか。そのためか、このライブの映像は(少なくとも現時点まで)発売されることはなかった。今、それで良いのだ、「THE BEST MOMENT」はあの時だけのものだ、という気持ちもあるのだが、心のどこかに、あの特別な五曲を含む映像が(どのような形でもよいが)リリースされないことを残念にも思う。
これまで発売されたフジファブリックのライブ映像を挙げてみる。発売日、パッケージの名称、メディア(DVD or DVD/BD)を示す。また、志村正彦在籍時のものは青字で記しライブの日時を( )内に記す。(他にドキュメンタリー映像の中にライブが入っていることもある)
①2006年 7月12日 『Live at 日比谷野音』DVD (2006年5月3日 日比谷野外大音楽堂)
②2008年12月17日『Live at 両国国技館』DVD (2007年12月15日 両国国技館)
③2010年6月30日 「FAB MOVIES LIVE映像集」DVD[『FAB BOX』所収] (2003年~2009年 各地 全20曲)
④2011年7月20日『フジファブリック presentsフジフジ富士Q -完全版-』DVD/BD
⑤2013年4月17日『FAB LIVE』DVD/BD
(2012年12月11日Zepp DiverCity Tokyo/2011年12月16日Zepp Tokyo/2012年7月19日恵比寿リキッドルーム)
⑥2014年4月16日『Live at 富士五湖文化センター』DVD (2008年5月31日 富士五湖文化センター)
⑦2014年4月16日『Live at 渋谷公会堂』DVD (2006年12月25日 渋谷公会堂)
*2014年4月16日『FAB BOX Ⅱ』DVD ⑥⑦所収
⑧2014年5月21日『FAB LIVE Ⅱ』DVD/BD
⑨2015年4月8日『Live at 日本武道館』DVD/BD
⑩2016年2月17日『Hello!! BOYS&GIRLS HALLTOUR 2015 at 日比谷野音』DVD/BD
⑪2019年7月10日『Official Bootleg Live&Documentary Movies of“CHRONICLE TOUR”』DVD (2009年6~7月 全国9会場10公演)
⑫2019年7月10日『Official Bootleg Live&Documentary Movies of“デビュー5周年ツアーGoGoGoGoGoooood!!!!!”』DVD (2009年9~10月 全国8会場10公演)
*2019年7月10日『FAB BOX Ⅲ』DVD ⑪⑫所収
⑬2020年2月26日『フジファブリック 15th anniversary SPECIAL LIVE at 大阪城ホール2019 「IN MY TOWN」』DVD/BD
⑭2022年12月7日『フジファブリック LIVE TOUR2022 ~From here~” at 日比谷野音』DVD/BD
⑮2025年6月25日『フジファブリック LIVE at NHKホール』DVD/BD
*なお、2019年8月28日『FAB LIST 1』CD(初回盤)にはライブ音源CD(2005年7月21日渋谷AX)がある。
20年の活動歴の中でライブ映像は15のパッケージでリリースされている。こうしてまとめてみると、フジファブリックはライブバンドでもあったという事実が見えてくる。卓抜な演奏力があった。そして活動休止前に、2024年8月4日のTOKYO GARDEN THEATERが〈志村正彦のフジファブリック〉のライブ演奏の集大成、半年後の2月6日のNHKホールが〈山内・金澤・加藤のフジファブリック〉のライブ演奏の集大成という意図で開催されたのだろう。
また、『フジファブリック LIVE at NHKホール』には付録として、最近の五つのMUSIC VIDEOを収録した『FAB CLIPS 5』が付属されたいた。ミュージックビデオとそのメイキング映像などを収録したDVD『FAB CLIPS』は、結局、1から5までリリースされたことになる。フジファブリックはミュージックビデオにも力を入れてきた。
① 2006年2月22日 『FAB CLIPS』(1)② 2010年6月30日 『FAB CLIPS 2』*「SINGLES 2004-2009」初回生産限定盤の付録
③ 2015年4月8日 『FAB CLIPS 3』
④ 2020年1月29日 『FAB CLIPS 4』
⑤ 2025年6月25日 『FAB CLIPS 5』*『フジファブリック LIVE at NHKホール』の付録
最後に一人のファンとしての願望を書きたい。
2024年8月4日の20周年記念「THE BEST MOMENT」TOKYO GARDEN THEATERライブの映像を含めて、いろいろな権限を何とか調整してその他のフェスやスタジオライブなどの映像を収録した『FAB BOX Ⅳ』とでも名付けられる映像集・音源集をリリースしてほしい。そうするだけの価値のある映像である。
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