ページ

2025年2月28日金曜日

2025年2月28日 [志村正彦LN362]

  現在のフジファブリックはこの2月末で活動を休止する。モバイルサイト「FAB CHANNEL」は今日で終了なので、2025年2月28日が活動休止の正式な日となるのだろう。

 この活動休止を受けて、このところ、NHKのラジオ番組や地元新聞などで、フジファブリックが話題となることがいくつかあった。このブログの目的の一つは志村正彦・フジファブリックに関する記事や出来事を記録しておくことにあるので、これらの話題について記しておきたい。


 2月16日、「サカナクション・山口一郎〜Night Fishing Radio〜」という番組で、フジファブリック「FAB FOX」が取り上げられた。僕はこの番組を聞き逃してしまったので、番組WEBの説明を引用したい。

ミュージック・マスターピース~その時名盤は生まれた~ 【今回の名盤】フジファブリック「FAB FOX」 【リポーター】川床明日香
毎回1枚の名盤にフォーカスしてお送りする特集企画。今回は、この2月で活動を休止する日本のバンド、フジファブリックの「FAB FOX」を特集。2005年にリリースされ、「銀河」「虹」「茜色の夕日」など、初期の代表曲を収めた、多彩な魅力に満ちたこの傑作を深掘りします。番組後半ではおなじみ、DJで音楽ライターの佐藤吉春さんが、最新のダンスミュージックを紹介してくれます!

 山口一郎はアマチュア時代にフジファブリックのライブを見て、特に志村正彦へのあこがれを抱いていた。以前「銀河」について「歌詞は超秀逸だし、メロディもすごいし展開もすごいね」と語ったこともある。この番組では何を話したのという興味がある。(ネットのどこかにその内容が記されてないだろうか)


 2月18日、NHKラジオの「マイ・フェイバリット・アルバム」という番組で、詩羽(水曜日のカンパネラ)がアルバム『CHRONICLE』の曲について語った。こちらの方はネットラジオ「らじる☆らじる」で聴くことができた。「バウムクーヘン」「Sugar!!」「タイムマシン」などが放送された。やはり、歌詞の世界に強く惹かれてきたようだ。


 少し遡るが、2月2日、「弁護士ドットコムニュース」で、「2月活動休止「フジファブリック」、弁護士になった初期メンバーの感謝「皆さんがいたから今の正彦もある」という題で、富士ファブリックのメンバーだった小俣梓司さんのインタビュー記事が載せられた。「普通のどこにでもいそうな男子高校生がすげえ頑張った。普通の大学生が楽しむ時間をすべてストイックに音楽に打ち込んだ。努力がすごかったんです。…」「素朴なところとか不器用なところとか普通なところとか、シャイですけど友だちへの思いやりがあるところとか。正彦のそういうところが好きです。…」など志村正彦に関する興味深い指摘が幾つもあるのだが、最後に「…富士ファブリックは、ぼんやりとした友情の結合体のようなもので、そのうち正彦はプロに、私は弁護士、へいちゃんは『いつもの丘』の神社の神主さんになって、たかさんは地元で楽しくやっていて、富士吉田に帰るといつも温かく迎え入れてくれる。ある意味、自分たちの富士ファブリックは今も続いている感じです」と語っているのがとても印象に残った。


 2月25日、山梨日日新聞に「フジファブ休止…でも「正彦の歌はこれからも」」という記事が掲載された。冒頭に、志村さんの思いや生きた証を届けようと活動している地元の同級生らは「正彦の歌や歌に乗せた思いは、これからもずっと残り続ける」と一つの節目に改めて感じている、とあり、同級生の奥脇一寛さんは「音楽で飯を食うなんて現実的ではない」と遠巻きに志村を見ていたが、ミスチルの桜井和寿が「若者のすべて」をカバーするなど「本当に肩を並べるようになって、心が震えた」と話し、篠原務さんは「(志村さんが)高校時代の同級生と組んでいた『富士ファブリック』が、自分にとってのフジファブリック」と言う、と書かれていた。

 志村の同級生たちにとっての「フジファブリック」は、いつまでもどこまでも、「富士ファブリック」なのであろう。


 オリジナルの富士ファブリック、インディーズのフジファブリック、メジャーのフジファブリックと三つのフジファブリックがあった。実際には、メジャーのフジファブリックは志村の死去によって二つのフジファブリックに別れている。だから、四つのフジファブリックがあったのだが、2004年から2009年までの志村がフロントマンだったメジャー時代が活動の頂点であったことはいうまでもない。今日、その二十五年に及ぶバンドの歴史が、「活動休止」という形で区切りというよりも実質的に終わりを迎えることになる。


 毎年2月になると、ある歌のことが思い浮かぶ。志村正彦作詞・作曲の『ルーティーン』だ。2009年2月6日、スウェーデンのストックホルムで録音された。偶然だろうが、NHKホールのライブも2月6日に開催された。十六年の時が流れたことになる。


 志村は「ストックホルム”喜怒哀楽”映像日記」(『CHRONICLE』付属DVD)で「最後にちょっとセンチメンタルな曲を一発録りでもう、多分歌も一緒にやるか、まあでもマイクの都合でできないかな、もうみんなで一斉にやって『終了』って感じにしたくて」と話して、「一発録り」で収録した。志村のヴォーカルとギター、山内総一郎のギター、金澤ダイスケのアコーディオンの演奏が撮影された貴重な映像だ。ネットにあるものを添付させていただく。



 志村はこの曲について「OKMusic」というサイトで次のように語っている。

日本でデモは作ってたんですけど、この曲だけ歌詞は向こうで書いたんです。向こうの空気を吸って書いてみると、新しい何かなるんじゃないかなって。でも、「ルーティーン」の曲名に連想されるように、どこにいても自分は変わらないというか、結局やることは一緒で、自分は自分なんだなってことに気付きました。そういうものが歌詞にも表れたんじゃないですかね。

  この曲は結果として、志村自身がスタジオで録音し完成した最後の作品となった。「どこにいても自分は変わらない」「自分は自分なんだな」、そのような自分自身がルーティーンとなる。日々を過ごしていく。そして歌を生み出していく。


 「ルーティーン」の歌詞には「日が沈み 朝が来て/昨日もね 明日も 明後日も 明々後日も ずっとね」とある。

 今、志村正彦・フジファブリックの歌が、聴き手にとって大切なルーティーンとなっている。


 日が沈み、朝が来る。

 昨日も、明日も、明後日も、明々後日も、ずっと、愛されていくだろう。



0 件のコメント:

コメントを投稿