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2024年12月20日金曜日

アンコール放送・全国配信、NHK甲府「若者のすべて〜フジファブリック・志村正彦がのこしたもの〜」[志村正彦LN358]

 今夜12月20日の午後7時半から、NHK甲府の「金曜やまなし」枠で、2019年12月13日に放送されたヤマナシ・クエスト 「若者のすべて〜フジファブリック・志村正彦がのこしたもの〜」のアンコール放送があった。「アンコール放送」とされているのは、たくさんのファンからの要望があったからだろう。


 初回放送から五年が経っている。すべてが懐かしい。そんな想いにとらわれた。志村正彦という存在も、その歌も、彼の故郷も、彼の友人たちも、この番組自体も、五年の時が流れているのだが(五年の時しか流れていない、というべきかもしれないが)、そのすべてがもはや懐かしい。あたかも、志村正彦が関わる世界のすべてがつねにすでにある種の懐かしさにつつまれているかのように。いまここで、つねにすでに、懐かしい。


 番組冒頭で、1stアルバム『フジファブリック』のプロデューサー片寄明人が、志村正彦・フジファブリックについてこう語っていた。

聴いたことのない音楽だなあってのは思いましたね

ノスタルジックな感情がわーっと湧きあがってくる

十年後二十年後に聴かれても古くならないような 普遍的としか言いようがない言葉が込められていると思いますね


  ノスタルジックな感情とは、まさしく、懐かしさや郷愁を感じることである。志村正彦は、言葉と楽曲によってノスタルジックな抒情を歌いあげた。片寄の言うように、その作品は十年後二十年後でも古くはならない。実際に、この番組で取り上げられた「陽炎」「赤黄色の金木犀」はリリースからすでに20年が経っている。「茜色の夕日」はそれ以上、「若者のすべて」は17年の時間を経ている。しかし古びてはいない。そもそものはじまりから懐かしいものは決して古びることがない。おそらくそうなのだろう。懐かしいものは、逆説的ではあるが、つねに新しい。


 この番組はNHKプラスで見逃し配信しているので、全国どこでも視聴できる。通常は1週間だが、その倍の期間、来年の1月3日午後8;15まで可能のようだ。この配慮はありがたい。

 来年2月でフジファブリックが活動休止になる節目だからこその企画かもしれないが、NHK甲府局での再放送、そしてNHKプラスによる全国配信は、志村正彦・フジファブリックのファンにとっては朗報である。

 しかしそれでもできることなら、新しい番組を見たかったというのが本当のところである。まだまだ、もっともっと、深く深く、志村正彦・フジファブリックを掘りさげていくことはできる。その未来の番組に期待したい。