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2016年12月5日月曜日

大根仁の選んだ『夜明けのBEAT』[志村正彦LN144]

 NHKEテレ『ミュージック・ポートレイト「古舘伊知郎×大根仁 第2夜」』を先ほど見終わった。ネットの情報で大根仁監督がフジファブリック『夜明けのBEAT』を選んだと知ったので再放送を録画しておいた。(本放送は12月1日にあった)

 この番組は、気心の知れた2人が人生の節目で心に響いた「大切な音楽10曲」を語り合うもの。古舘伊知郎と大根仁は20年来の知り合いだそうだ。二人は一緒に仕事をしていたのだが、古舘が「報道ステーション」を始めたことで、大根にとって生活の基盤となる仕事が失われる。これを転機として彼は深夜ドラマにシフトしていく。過去のドラマのパロディなど工夫を重ねたが、イマイチ「数字」(視聴率)が取れない。人に届けることができない。年齢も40歳を超える。ヒット作をちゃんと作らねばと思う。そんなある日定食屋で読んでいたある漫画に心をつかまれる。それが『モテキ』だった。普遍的なテーマ「恋愛」に活路を見出していく。テレビドラマ『モテキ』の誕生話だ。そしてこの作品が大ブレイクした。


 ドラマ『モテキ』の話に続いてナレーターが語りだす。ご覧になられなかった方のために、音源や映像部分を(  )内に注記しながら、発言を忠実に再現しよう。

(語り)大根は自らのモテなかった体験を主人公に投影してドラマを作り始めます。同時に主題歌を探していた大根、ふとこの曲に出会います。(ここから『夜明けのBEAT』イントロが流れる)
大根自身鳥肌が立ったというほど作品にぴったりなこの曲。大根はドラマ作りを加速させます。(ここから『夜明けのBEAT』MVが始まる。森山未來が夜を彷徨うシーン。歩いて倒れ、倒れて歩く。「半分の事で良いから 君を教えておくれ」「些細な事で良いから まずはそこから始めよう」の歌詞テロップ)

 MV中の志村正彦登場シーンが流れると、それに合わせるように、大根の次の言葉が始まった。

(大根)この曲はボーカルの志村さんという人が2010年そのモテキのオンエアが始まるちょっと前に亡くなってしまったんですよね。で、だから志村さんはこの曲をこのドラマに向けて書いたつもりではないんですよ。でもなんかそうなのにもうなんか内容的に完全にシンクロしているし、なんかこの呼ばれている感じは何だろうなっていうね。

 「この呼ばれている感じは何だろうな」というのが大根仁の『夜明けのBEAT』経験の核心にあるものだろう。彼は「呼ばれている」ことに誠実に応えた。そうすることで、『モテキ』と『夜明けのBEAT』は遭遇を果たせた。この歌がドラマ作りを加速させたように、ドラマ『モテキ』が『夜明けのBEAT』を数多くの人々に伝えることになった。

 志村正彦も大根仁も『モテキ』の作中人物の一人となり、この二人が対話しているかのような幻想を想い描けるかもしれない。 FUJIFABRIC Official YouTube Channelから大根監督作成のMVを添付しよう。





 久しぶりにこのMVを見た。森山未來のダンスはエッジが効いている。踊りも演奏も映像も、深夜から早朝までの時間を疾走していく。ラストシーン、薄紫色の雲と空の世界は、題名通りの「夜明け」の感覚に満ちている。そしてこのMVを支えているのは、数秒しか映らないのではあるが、志村正彦の歌い叫ぶ姿であろう。


 今年はすでに5月に『ミュージック・ポートレイト「妻夫木聡×満島ひかり第2夜」』で、妻夫木によって『茜色の夕日』が選ばれている。
 記憶されるべき作品として、志村正彦・フジファブリックの歌は「今」を生きている。

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