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2016年9月26日月曜日

ある問いかけ [志村正彦LN141]

 一昨日、富士の山頂に初雪が降ったそうだ。今朝、勤め先のいつもの位置から遠くの富士を眺めたが、甲府からではやはり分からない。
 今夜、駐車場に向かう途中、あの香りが微かな風に乗って鼻腔に届いた。金木犀だ。昨年も今頃だった。家に帰り、フジファブリック『赤黄色の金木犀』をかける。毎年の恒例だが、歌は不思議なもので、不意にある言葉が迫ってくる。

  いつの間にか地面に映った
  影が伸びて解らなくなった   (作詞・志村正彦)

 彼岸が過ぎて、日に日に昼が短くなっていく。陽は傾き、影が長く伸びるようになる。陽が弱くなり、影がうすく、その輪郭もぼんやりとしてくる。この歌詞の一節は、この季節に特有の「影」を描いている。影が季節の影となる。そんなことをふと思った。

 HINTOの新作『WC』がリリースされた。注文したが売れ行きがよく在庫がないようでまだ届かない。新曲『なつかしい人』のミュージックビデオを見たが、言葉、楽曲、演奏、映像、すべてが極めて高い次元で融合している。アルバム全体を聴くのが待ち遠しい。
 ネットを検索すると、HINTOのドラムス菱谷昌弘氏のtwitter(ひしたにビッツまさひろ https://twitter.com/hishitanese 9月21日) にこういう呟きがあった。

作り手がその作品を作るにあたって、どんな想いで、どれだけ頭ひねって、どれだけ苦労して作りあげたのか、ちゃんと批評する人たちには今一度その事を考えてみて欲しい モノを作る人なら尚更

 率直であるがゆえの深い問いかけだ。僕は批評家でも作家でもないこのblogの単なる書き手だが、この菱谷氏の言葉は肝に銘じたい。

 数分ほどのロックの歌。それらが集まった数十分のアルバム。
 その作品に、どれだけの「想い」と「頭」と「苦労」が込められているのか、どれだけの時間が凝縮されているのか、どれだけの闘いの痕跡があるのか。そのことを丁寧に測量するのがこの「偶景web」の仕事だと考えている。あえて「仕事」と書いたのは、自己表現や趣味ではないという実感があるからだ。「しごと」の本来の意味、「すること」というのか「すべきこと」というのか。すべきことであるから、する。続ける。

 昨日、ページビューが十五万を超えた。拙文を読んでいただき、感謝を申し上げます。

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