公演名称

〈太宰治「新樹の言葉」と「走れメロス」 講座・朗読・芝居の会〉の申込

公演概要

日時:2025年11月3日(月、文化の日)開場13:30 開演14:00 終演予定 15:30/会場:こうふ亀屋座 (甲府市丸の内1丁目11-5)/主催:甲府 文と芸の会/料金 無料/要 事前申込・先着90名/内容:第Ⅰ部 講座・朗読 「新樹の言葉」と「走れメロス」講師 小林一之(山梨英和大学特任教授)朗読 エイコ、第Ⅱ部 独り芝居 「走れメロス」俳優 有馬眞胤(劇団四季出身、蜷川幸雄演出作品に20年間参加、一篇の小説を全て覚えて演じます)・下座(三味線)エイコ

申込方法

右下の〈申込フォーム〉から一回につき一名お申し込みできます。記入欄の三つの枠に、 ①名前欄に〈氏名〉②メール欄に〈電子メールアドレス〉③メッセージ欄に〈11月3日公演〉とそれぞれ記入して、送信ボタンをクリックしてください。三つの枠のすべてに記入しないと送信できません(その他、ご要望やご質問がある場合はメッセージ欄にご記入ください)。申し込み後3日以内に受付完了のメールを送信します(3日経ってもこちらからの返信がない場合は、再度、申込フォームの「メッセージ欄」にその旨を書いて送ってください)。 *〈申込フォーム〉での申し込みができない場合やメールアドレスをお持ちでない場合は、チラシ画像に記載の番号へ電話でお申し込みください。 *申込者の皆様のメールアドレスは、本公演に関する事務連絡およびご案内目的のみに利用いたします。本目的以外の用途での利用は一切いたしません。

2022年9月11日日曜日

めぐる夏-HINTO『シーズナル』

 CDTV「思い出の夏ソングBEST60」1位となった『若者のすべて』の他にも、『陽炎』『NAGISAにて』など素晴らしい「思い出の夏ソング」を志村正彦・フジファブリックは創った。一つだけ選ぶとしたらずいぶん迷うことだろう。

 僕が志村の作品以外から「思い出の夏ソング」を選ぶなら、HINTOの『シーズナル』(2014年発表)だ。以前も紹介したが、あらためてこの歌を取り上げたい。ミュージックビデオと歌詞全文を添付する。





HINTO 『シーズナル』
作詞:安部コウセイ・作曲:HINTO

いつだって調子が悪そげな現状に
テンパってばかりでもう
本日の曜日もわかんなくなってるけど
猛暑って騒ぎ出したね

チャラい事に無縁の僕の夏がやってくる
今年こそは!今年こそは!だぜ

ねぇ皆ねぇ皆ねぇ皆 そろそろ
新しい季節が始まるみたいさ
誰かと出会って 誰かとは別れて
めぐってめぐって少しずつ変わって

なんとなく自然と疎遠になった君を
想い出して忘れた夜
完璧に眠気が消滅しちゃったけれど
豪雨ってこんな時いい

それっぽいことしないで僕の夏が去ってゆく
来年こそ!来年こそ!だぜ

ねぇ皆ねぇ皆ねぇ皆 そろそろ
新しい季節とサヨナラみたいさ
誰かと笑って 誰かと涙して
愛して憎んで少しだけわかって

ねぇ皆ねぇ皆ねぇ皆 そろそろ
新しい季節が始まるみたいさ
誰かと出会って 誰かとは別れて
めぐってめぐってくシーズン
めぐってめぐってくシーズン
めぐってめぐって
少しだけ変わった


 安部コウセイ@kouseiabeの8月28日のtweetには〈HINTOのシーズナルって曲があるんですけど、何度歌っても毎回しずかに感動するんです。なのでもう勝手に名曲認定しますね〉とある。作者自身の名曲認定だが、この歌がもっと聴かれるべき夏の名曲であることは確かだろう。9月3日には〈アナログヒントありがとうございました。あー最高の夜だった。最高の夜だったよ〉とあり、9月2日開催のAnalogfish×HINTOの 2 man Live 『アナログヒント~おひさしぶりのブラザー~』での『シーズナル』のライブ映像が添えられている。

 歌詞について触れたい。〈チャラい事に無縁の僕の夏がやってくる〉〈それっぽいことしないで僕の夏が去ってゆく〉と〈僕の夏〉がゆるやかに語られている。〈チャラい事に無縁の〉〈それっぽいことしない〉〈僕〉。〈やってくる〉夏と〈去ってゆく〉夏。遠い遠い夏の季節にそんなことがあったような、なかったような、そんな思い出が聴き手の僕自身の中でもめぐりだす。失われてゆくものを取りかえしたい想い。その苦しさ、空しさ、懐かしさ、切なさ。この歌を聴くと様々な感情が浮かび上がる。

 『シーズナル』のサビは三回繰り返されるが、歌詞に変化がある。

 めぐってめぐって少しずつ変わって
 
 愛して憎んで少しだけわかって

 めぐってめぐって少しだけ変わった

 このblogですでに書いたことを繰り返すが、〈少しずつ変わって→少しだけわかって→少しだけ変わった〉という変化について触れたい。〈変わって→わかって〉の〈かわ〉〈わか〉の音の戯れ。〈少しずつ→少しだけ→少しだけ〉という副詞の展開。〈て→て→た〉と余韻を残す接続助詞〈て〉を使いながら最後は助動詞〈た〉で完結させる。安部コウセイは、言葉の微細な変化によって、〈僕〉の変化を歌う。

 以前、この三つの箇所が、『若者のすべて』の最後〈僕らは変わるかな 同じ空を見上げているよ〉に対する応答のように感じると書いたが、今聴くと、ますますそんな気がするのはなぜだろうか。

 『シーズナル』も『若者のすべて』も、聴き手にそして歌い手にも、夏を想起させる強い作用を持つ。夏の思い出が〈めぐってめぐって〉ゆく。
 

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