公演名称

〈太宰治「新樹の言葉」と「走れメロス」 講座・朗読・芝居の会〉の申込

公演概要

日時:2025年11月3日(月、文化の日)開場13:30 開演14:00 終演予定 15:30/会場:こうふ亀屋座 (甲府市丸の内1丁目11-5)/主催:甲府 文と芸の会/料金 無料/要 事前申込・先着90名/内容:第Ⅰ部 講座・朗読 「新樹の言葉」と「走れメロス」講師 小林一之(山梨英和大学特任教授)朗読 エイコ、第Ⅱ部 独り芝居 「走れメロス」俳優 有馬眞胤(劇団四季出身、蜷川幸雄演出作品に20年間参加、一篇の小説を全て覚えて演じます)・下座(三味線)エイコ

申込方法

右下の〈申込フォーム〉から一回につき一名お申し込みできます。記入欄の三つの枠に、 ①名前欄に〈氏名〉②メール欄に〈電子メールアドレス〉③メッセージ欄に〈11月3日公演〉とそれぞれ記入して、送信ボタンをクリックしてください。三つの枠のすべてに記入しないと送信できません(その他、ご要望やご質問がある場合はメッセージ欄にご記入ください)。申し込み後3日以内に受付完了のメールを送信します(3日経ってもこちらからの返信がない場合は、再度、申込フォームの「メッセージ欄」にその旨を書いて送ってください)。 *〈申込フォーム〉での申し込みができない場合やメールアドレスをお持ちでない場合は、チラシ画像に記載の番号へ電話でお申し込みください。 *申込者の皆様のメールアドレスは、本公演に関する事務連絡およびご案内目的のみに利用いたします。本目的以外の用途での利用は一切いたしません。

2019年8月18日日曜日

2019年夏の『若者のすべて』[志村正彦LN229]

 8月9日のミュージックステーション。志村正彦・フジファブリック『若者のすべて』の演奏は大きな反響を呼んだ。番組の録画を見直してみた。
 スタジオ収録用カメラはありのままの姿を映し出してしまうところがある。番組での加藤慎一、金澤ダイスケ、山内総一郎の三人の姿はいつもより年齢を感じさせた。加藤・金澤が39歳、山内が37歳、若者の季節をすでに過ぎた彼らが『若者のすべて』を歌い奏でる。もちろん、あらゆる歌は年に関係なく歌うことができる。しかし、歌のリアリティは歌い手という存在に支えられていることも確かだ。挿入された映像の志村正彦は二十代後半の声と身体のままである。2019年という時の区切りはそんなことも感じさせた。

 時間は前後するが、8月5日の河口湖湖上祭で、「路地裏の僕たち」による「河口湖湖上祭 若者のすべて花火プロジェクト」による花火が打ち上げられた。『FAB BOX III 上映會』と展示会の際に集まった協力金は71万を超えたそうだ。一人500円だったのでざっと計算すると1400人もの人が協力したことになる。僕は現地には行けなかったが、動画サイトでその映像を見ることができた。初めに志村正彦のことを伝えるアナウンスがあった。志村の歌声が会場に流れ、美しい花火の数々が夜空を飾っていた。いったん終わりかけ、少しの沈黙の後、ひときわ大きな花火が打ち上げられた。「最後の最後の花火」を意図した演出だろうか。余韻が残る終わり方だった。三分ほどの時間、その間の火花の一点一点の光の粒が一人一人のファンによって支えられていた。
 「同じ空を見上げているよ」、歌詞の最後の一節のように、志村を想う人々が現地であるいは動画を通じて、河口湖湖上祭の同じ空、同じ花火を見上げていた。

 8月8日、 槇原敬之が初のカバーベストアルバム『The Best of Listen To The Music』に『若者のすべて』を収録するというニュースがあった。槇原は10月にデビュー30年目を迎える。30周年イヤー第1弾作品として、 これまで3作あるカバーアルバム『Listen To The Music』シリーズの中から厳選された13曲にフジファブリック『若者のすべて』とYUKI『聞き間違い』が新たに録音されて全15曲が収録され、10月23日に発売されるそうだ。この収録曲が凄い。


■槇原敬之『The Best of Listen To The Music』収録曲
01. 君に、胸キュン。(YMO)
02. 月の舟(池田聡)
03. traveling(宇多田ヒカル)
04. Your Song(エルトン・ジョン)
05. 言葉にできない(小田和正)
06. ごはんができたよ(矢野顕子)
07. WHAT A WONDERFUL WORLD (ルイ・アームストロング)
08. ヨイトマケの唄(美輪明宏)
09. MAGIC TOUCH(山下達郎)
10. Hello,my friend(松任谷由実)
11. 時代(中島みゆき)
12. Rain(大江千里)
13. Missing(久保田利伸)
14. 若者のすべて(フジファブリック)※新録
15. 聞き間違い(YUKI)※新録
※カッコ内はオリジナル歌唱アーティスト


 『若者のすべて』が、『Your Song』(エルトン・ジョン)、『WHAT A WONDERFUL WORLD』(ルイ・アームストロング)という世界の名曲、『ヨイトマケの唄』(美輪明宏)、『Hello,my friend』(松任谷由実)、『時代』(中島みゆき)という日本の名曲、『君に、胸キュン。』(YMO)、『ごはんができたよ(矢野顕子)』という日本語ロックの秀作と並んでいる。これを知った時の驚き、喜び。月並みな言葉しか浮かばないが、嬉しさがこみ上げてきた。槇原敬之という傑出した歌い手による選曲の中で、『若者のすべて』は歌い継がれるべき名曲として認められた。『若者のすべて』はついにこのような並びの中で記憶されていくのだ。
(いつも書いていることだが、カバーソングの場合はオリジナル歌唱アーティストを記すのが通例だが、作詞作曲者名も記してほしい。15曲中、バンドによる作品は他に『君に、胸キュン。』(YMO)があるが、これは作詞:松本隆、作曲:細野晴臣、坂本龍一、高橋幸宏である。YMOというアーティスト名とともに、作詞作曲者名が重要であることが分かる)

 一昨日、県立図書館2階の郷土資料コーナーで調べ物をしていた。2階から1階を見下ろした時に、5年前の2014年7月、この場所で『ロックの詩人 志村正彦展』を開催した時のことを思い出した。あの時は志村正彦の没後五年、今年は十年である。年月は過ぎ去り、年齢は重ねられていく。
 図書館を後にして車に乗り込むと、『若者のすべて』が流れ始めた。午後3時過ぎ、FM FUJIだった。偶然の遭遇は幸せな気分をもたらす。家への帰路の途中。猛暑の甲府盆地。車の外では夏の光が溢れている。車の中では志村の声が響きわたっている。彼の声が夏の光を縫いあわせるようにして歩き出していった。
 この歌を愛する一人ひとりに、夏の『若者のすべて』がある。FM FUJIの ONAIR SONGSが僕にとって、2019年夏の『若者のすべて』となった。

0 件のコメント:

コメントを投稿