一昨日、最後の夕刊が届けられた。山梨県では「朝日新聞」の夕刊の配達が3月31日で終わりとなった。佐賀、大分に次いで3県目の終了となるそうだ。夕刊購読者の減少が直接の理由らしい。
高校生の頃から、東京で暮らした時期も含めて四十年ほどの間、朝日の夕刊を読み続けてきた。朝食時に朝刊、夕食時に夕刊。習慣のリズムだった。これからもPC画面で「デジタル夕刊」を読むことはできるが、新聞紙という媒体ではもう読むことができない。さびしさがあるが、すぐに慣れてしまうのかもしれない。
かつて朝日新聞の夕刊文化欄には、作家や研究者の質の高い寄稿が掲載されていた。しかし、十年ほど前から紙面の内容や構成が変わり、その魅力が失せてきた。時代や流行に迎合しすぎているように思えた。新聞は「新」聞ではあるが、むしろ紙と活字の媒体としての本質的な「古」さがその存在意義だということが理解されていない。
インターネットの拡大が新聞の衰退を招いたと言われるが、それだけが原因ではない。朝日だけでなく他の全国紙や地方紙も軒並み、内容の水準が落ちている。読むに値する記事が減ってきた。教える仕事のために「教材」として目を通すこともあるが、使えるものが年々少なくなっている。逆説的だが、良い記事や寄稿に巡り合った時の価値は以前よりも増している。
新聞記者も一般の人々も、ネットを情報源とする限り、情報の量と質はほぼ同一、等価になっている。もちろん記者は独自取材ができることが違うが、それがどこまで「独自」なのか、ほんとうに「取材」なのか、疑問に思うこともある。さらに踏みこんで言うと、思考や表現の質も似たような水準になってきたのではないか。わざわざ読むには値しないと判断されれば、読まなくなるのは自然の原理だ。
今後、購読者が少ない県(山梨のように人口が少なく、経済力も弱い県)から次第に夕刊は終了となるだろう。最終的には、夕刊という制度そのものが終わりを迎える。宅配制度に支えられた朝刊はこれからも長い間存続するだろうが、その内容や形態は変革を余儀なくされる。おそらく現場の記者は相当な危機感を持っているだろう。
これまで夕刊を我が家まで配達していただいた方々、長い間、ほんとうにありがとうございました。
公演名称
〈太宰治「新樹の言葉」と「走れメロス」 講座・朗読・芝居の会〉の申込
公演概要
日時:2025年11月3日(月、文化の日)開場13:30 開演14:00 終演予定 15:30/会場:こうふ亀屋座 (甲府市丸の内1丁目11-5)/主催:甲府 文と芸の会/料金 無料/要 事前申込・先着90名/内容:第Ⅰ部 講座・朗読 「新樹の言葉」と「走れメロス」講師 小林一之(山梨英和大学特任教授)朗読 エイコ、第Ⅱ部 独り芝居 「走れメロス」俳優 有馬眞胤(劇団四季出身、蜷川幸雄演出作品に20年間参加、一篇の小説を全て覚えて演じます)・下座(三味線)エイコ
申込方法
右下の〈申込フォーム〉から一回につき一名お申し込みできます。記入欄の三つの枠に、 ①名前欄に〈氏名〉②メール欄に〈電子メールアドレス〉③メッセージ欄に〈11月3日公演〉とそれぞれ記入して、送信ボタンをクリックしてください。三つの枠のすべてに記入しないと送信できません(その他、ご要望やご質問がある場合はメッセージ欄にご記入ください)。申し込み後3日以内に受付完了のメールを送信します(3日経ってもこちらからの返信がない場合は、再度、申込フォームの「メッセージ欄」にその旨を書いて送ってください)。
*〈申込フォーム〉での申し込みができない場合やメールアドレスをお持ちでない場合は、チラシ画像に記載の番号へ電話でお申し込みください。
*申込者の皆様のメールアドレスは、本公演に関する事務連絡およびご案内目的のみに利用いたします。本目的以外の用途での利用は一切いたしません。
0 件のコメント:
コメントを投稿