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2014年3月2日日曜日

『Live at 富士五湖文化センター 上映會』 [志村正彦 LN72]

 4月13日(日)、富士吉田の「ふじさんホール」で、デビュー10周年記念『Live at 富士五湖文化センター 上映會』が特別開催されることが一昨日伝えられた。フジファブリックの公式WEBSITEによると、『FAB BOX Ⅱ』(4月16日発売、EMI Records Japan[ユニバーサルミュージック])リリース前の先行上映となる。

 翌日の14日(メジャデビュー10周年の記念日)には、『FAB MOVIE -劇場版-』という名の上映イベントが渋谷・横浜・浦和・名古屋・大阪の5会場の映画館で行われる。こちらの方は、『FAB BOX Ⅱ』の志村正彦在籍時のフジファブリックの映像と、『FAB LIVE Ⅱ』(5月21日発売、4月1日にSMEのレーベル8社は再編され、「ソニー・ミュージックレーベルズ」に統合される予定なので、このレーベルからのリリースになるのだろうが、現時点では不明だ)の現フジファブリックの映像をまとめた特別版らしい。

 4月13日富士吉田、14日渋谷・横浜・浦和・名古屋・大阪と、会場形式のビデオコンサートで「デビュー10周年」を祝福して、16日の『FAB BOXⅡ』発売を迎えることになる。ビデオコンサートの方は、4日から、"SMA☆アーティスト"会員限定でチケット先行予約の受付が始まるので、一連のイベントの企画・運営はSMAソニー・ミュージックアーティスツになるのだろう。

 今回のBOX版のリリースは、

 志村正彦在籍フジファブリック   『FAB BOX (Ⅰ)/Ⅱ』  EMI[ユニバーサル]

 現フジファブリック                        『FAB LIVE (Ⅰ)/Ⅱ』   ソニー・ミュージック

 というように、以前のものも含め、きれいに棲み分けされたことはファンとしては有り難いのではないか。志村正彦在籍時のフジファブリックのファン、現フジファブリックのファン、その二つを通してのファン、という三つの立場というか好みのようなものが現実にある。これは議論の余地がない「現実」だ。だからこそ、それぞれのファンのあり方が尊重されるべきだというのが私の考えだ。好みは自由であり、時と共に変化することもあるからだ。
 そして、レコード会社や音楽事務所は、志村在籍フジファブリックの音源や映像も、現フジファブリックの音源や映像も、需要のある限りは、誠実に制作し発売すべきだ。「私」企業ではあるが、音楽文化と芸術を支える「公」的立場もあるからだ。
 (私自身は、この「志村正彦LN」の内容からも自明なように、志村正彦の作詞作曲した歌と楽曲の世界に深い愛着と関心があり、それゆえに、志村正彦在籍時のフジファブリックを中心に聴いている)

 今回発売の『Live at 富士五湖文化センター』はDVDなのでいわゆる標準画質だ。2008年の収録なので、録画そのものはHD画質(ハイビジョン)で行われていると推測されるので、HD画質で編集完成させたヴァージョンがあり、それをダウンコンバートしてDVD版が製作されるのであればいいのだが。「ふじさんホール」は800席ほどのキャパシティで、「中ホール」位の規模があり、スクリーンもそれなりの大きさが必要となる。プロジェクターで投影する場合、上映素材の画質がとても重要になる。音響についても、当日の音量や音質を再現できるレベルの機材が必要となる。(私は博物館に勤めていた頃に、展示映像や記録映画の制作やホールでの上映会を担当していたので、このような問題が気になる)
 フジファブリックの公式WEBSITEには、「6年前に行われた実際のステージと同じ空間を共有しながら、ライブの空気感までも実感出来る、またとない貴重な時間をお楽しみください」と記されているので、映像や音響の機材や設備には大いに期待していいのだろう。

 『Live at 富士五湖文化センター 上映會』という文字を改めて見ると、「会」ではなく「會」の字が使われていることに気づく。現在の用字法では「上映會」の「會」は普通使われない。あえてこの字をあてはめたのは、2010年1月21日、中野サンプラザで営まれた志村正彦とのお別れ会『志村會』の「會」の字を受け継いでいるからだろうか。14日の全国5会場上映は「上映イベント」と名付けられているので、意識的に「會」を使用しているのは間違いない。もっとも、デビュー7周年記念日にあたる2001年4月14日に渋谷と大阪で開催された『フジフジ富士Q 完全版上映會』でも「會」が使われているので、今回が初めてではないが。「会」ではなく「會」なのは、追悼という意味を込めての用字法なのだろうか。
 

 しかし、一連のイベントを頭の中で整理できても、心の中の整理ができない方も多いのではないだろうか。
 特に、リアルタイムで彼に出会い、彼の音楽と人生を聴き手として共有していた方々にとっては、4月13日の富士吉田での上映會をどのように受けとめていいのか、複雑な心境の方が少なくないのかもしれない。
 このような機会が訪れたことへの喜びや感謝の反面、志村正彦の永遠の不在という現実を再び確認せざるをえないという哀しみと喪失感が交錯するような心情が察せられる。

 富士吉田の上映會に行くことを決めた人も、仕事や色々な都合で行けない人も、あえて行かないことを選択した人も、それぞれの想いで、この『Live at 富士五湖文化センター 上映會』という出来事を受けとめればよいと考える。
 私自身はチケットを入手できればぜひ出かけたいと考えている(チケットが手に入るかどうかが不安だが)。彼の音楽が再び「報われる時」を、あの場で同じ想いの人々と一緒に経験したいからだ。そして、その日の出来事について「志村正彦LN」にしっかりと書きとめておきたい。

 昨年は4月中旬、一昨年は4月下旬に富士吉田を訪れた。昨年は桜の開花が早く、4月中頃には市内の桜はほぼ散ってしまっていた。一昨年は逆にかなり遅く、下旬でもまだかなり咲いていた。数日前に発表された山梨の「さくら開花予想」によると、大雪等の影響もあり、昨年よりは開花が遅くなるようだ。そうであれば、4月13日頃には、富士吉田の桜は美しく咲いているのではないだろうか。
 桜の季節が過ぎてしまってもいいのかもしれないが、やはり、桜の花と春を迎えた富士山を背景に、志村正彦「一世一代」のライブの上映會が開催されることを願いたい。

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