前の記事「Virtualな四季」をUPした後、メールチェックの仕事に戻り、夜6時頃からUTYテレビ山梨(TBS系列)の「報道特集」を見ていた。当然だが「コロナ危機」の特集である。
途中でいきなり、志村正彦の声が聞こえてきた。フジファブリック『若者のすべて』が流されていた。画面を見ると、新倉山浅間公園の桜の風景が広がっていた。忠霊塔(五重塔)、富士山、富士吉田の街並が見える。
頭が混乱した。これが番組の一部でないことだけは確かだ。すぐに録画ボタンを押した。後で再生して確認した。
『若者のすべて』の最後のブロックがBGMとして流される。右下には「♪若者のすべて♪ フジファブリック」のテロップ。ドローンで空撮したのだろう。風景の様子や周囲の状況からして最近の撮影だと思われる。富士山の美しい姿、そして「いつもの丘」の風景、最後に「STAY HOME」の文字が現れた。右下に「50TH UバクUTY」のクレジット。ここでやっと了解した。この映像はテレビ山梨が制作した「STAY HOME」の公共的な広告だということを。UTYは今年が開局50周年ということで、一連のキャンペーンを行っているが、その一つでもあるのだろう。
番組終了後、UTYテレビ山梨のサイトを見ると、「STAY HOME 新型コロナに警戒しよう!」という特設ページ に、STAY HOME(30秒)とSTAY HOME(60秒)の二つのversionが置かれていた。ありがたい。STAY HOME(60秒)が『若者のすべて』versionである。ぜひご覧になってください。
STAY HOME(30秒)の方は、サンボマスターの『できっこないをやらなくちゃ』をBGMにして、甲府盆地の釜無川あたりの風景が映されていた。つまり、UTYテレビ山梨の制作部は、「STAY HOME」30秒version サンボマスター、60秒version フジファブリックの音源を使ったことになる。甲府盆地と富士北麓の二つの地域別のversionとも言える。
『若者のすべて』の歌詞は次の最後のブロックである。
最後の花火に今年もなったな
何年経っても思い出してしまうな
ないかな ないよな なんてね 思ってた
まいったな まいったな 話すことに迷うな
最後の最後の花火が終わったら
僕らは変わるかな 同じ空を見上げているよ
STAY HOME(60秒)のセンスが素晴らしい。映像と音源が相乗効果を上げている。志村正彦の優しい声が美しい風景に溶け込んでいる。
志村正彦・フジファブリックが誕生したのはこの山梨である。しかし、この曲がいわゆる「山梨枠」として使われたのではないだろう。若者のすべてを表現する類い稀な詩として選ばれたのだと僕は考える。
「僕らは変わるかな 同じ空を見上げているよ」のところで、富士山と「いつもの丘」の桜が映し出される。 あの美しい桜を「今年は見られなかったけど…」「来年はきっと見られる」。
そのための「STAY HOME」である。